「ッ、」
がり、と強く歯を立てた衝撃に、腕の中の遊星が身動いだ。
「…ジャック、」
「何だ」
名前を呼ばれる。恐らく今の自分の行動を非難しているのだろう、声音は何時もより堅かった。
それを知りながら適当に返事を返して、首の後ろ、今し方噛み付いた位置から少しだけ唇をずらし、もう一度その膚に歯を立てる。
「ッ、…おい、痛いだろう」
「お前の服なら見えないから大丈夫だ」
「…そういう問題じゃ、ッん、」
呆れたような溜息混じりの声を封じるようにもう一箇所、項の辺りに痕をつけてやる。
流石に此処は襟に隠れるぎりぎりだろうか――そう思っても、つけられた本人ひとりでは確認し難い位置だ。それ以上に無頓着な遊星がそんなところまでわざわざ確認するとも思えない。
だから、本格的な抵抗が来るまで好きにやらせて貰うことにしていた。――尤も、後でばれて怒られようが構わないし、そんな抵抗をされる前に出来ないところまで進める気で居るのだが。
「…痕、」
「ん?」
「つけて、楽しいか」
前に回した手で身体の方を弄んでいた所為か、少し息を弾ませた声が訊ねてきた。
肩越しに、こちらを見ようとしない顔を覗き込んでやれば、遊星は僅かに頬を紅潮させて俯いていて。
「…そうだな、」
「ッ、ジャ、…っ、」
「お前がそんな顔を見せるから、」
下衣の前を寛げて手を差し入れて、熱を持ち始めた遊星自身に触れてやる。
「誰にも見られないように、オレだけのものにしたいとは思うな。…なぁ、遊星」
「ッぁ、っ…ジャック…!」
は、と熱い吐息を吐き出して背を仰け反らせる遊星の首筋に、またひとつ歯を立てて痕を残す。
――所有印なら、いっそ見えたって構わない。
これがオレのものだと、他者へ確実に示せるのだから。
独占欲キング。