※決着がつく前に捏造した。暗かったり酷かったり















「死よりも、」
 掠れた声が、蹂躙し尽くされて息も絶え絶えな肢体から上がる。切り刻むつもりでつけてやった傷から流れる血と、身体の中も外も犯す白濁とした体液に沈み、溺れ。悪足掻きの抵抗もなくなり動かなくなったそれに再び高揚し出した気分を、その声は冷水を浴びせるが如く一気に醒めさせた。
 鬼柳はあからさまに顔を顰め、地面に転がる裏切り者を漆黒に浮かぶ金眼で鋭く睨め付ける。恐らく既に視界は無いだろう、虚ろに開かれた瞳は濁り何処を見ているのかも窺い知れなかった。
 それなのに、声音だけはいっそ気分が悪くなるほどにはっきりとした意志を保ったままで。

 ――死が怖くないのか。そう問うたのは鬼柳だった。

「…死、よりも、」
 襤褸雑巾のように打ち捨てられた男は繰り返す。僅かに震えが混ざったのを鬼柳は聞き逃さなかった。
 ぎりり、と奥歯を噛み締めて地面に転がる身体を蹴り飛ばす。数度転がされ血反吐を吐き呻くそれを見下して哄笑し、罵倒する。ほうら見ろ、お前も所詮はそういう人間なんだ。自分が大事で、綺麗事しか並べられない愚か者、裏切り者…!!
「…死ぬことよりも!」
 怒声を遮ったのは、嗄れきってボロボロの声だった。壊れかけた喉に止めを刺しそうなほど張り上げられたそれに、鬼柳は思わず口を閉じる。
 ――泣いていた。暗い闇のように混濁したブルーサファイアから透明な涙を零し、情けなく震えた声が鬼柳の鼓膜を衝く。

「――…きずなを失う方が、こわいんだ、鬼柳、」

 差し伸べるように、縋るように向けられた手を、どうしたかはわからない。
























多分テイクアウト
裏切りと〜との関連性は特に考えてないです