――希望の星に捧ぐ
















 だいすき。大好きなんだ、オレ。遊星のこと、ずっとずっと好きだった。やさしくて、かっこよくて、デュエルも強くて、なんでもできて。でも、放っておいたらご飯も寝るのもわすれてしまうような遊星が好きで。
 大好きで大好きで、ずっとオレのあこがれだったんだ。


 衝撃。吹っ飛ばされる。叩きつけられる。痛い。覚悟はしてたけど、やっぱり痛かった。でもオレが受けた痛みより、すぐに聞こえたオレを呼ぶ声の方が、もっと痛そうだった。そんな声、聞いたことなかった。だって、いつも冷静で強い遊星が、そんな、泣きそうな、声。
 痛みに思わず瞑っていた目を開けて見えたのは、あおいきれいな瞳を見開いて、いつもの仏頂面(って、ずいぶん前にそう表現しやがったのはジャックだ。誰よりも遊星のいろんな表情を知ってるくせに)を歪めた遊星だった。オレの身体を抱き起こす手が、オレの名前を呼んでくれる声が、震えてる。…そうさせてるのは、オレなんだけど、さ。

 ねえ遊星。オレ、ずっと遊星のためにできることを探してたんだ。ずっと力になりたかった。遊星を守れるくらい強くなりたかった。だってさ、オレだって男だよ? 助けてもらってばっかりじゃ、かっこわるいもんな。遊星はそのままで構わないって言うかもしれないけど、好きな人を守りたいと思うのは、男として当然だろ?
 だけど……やっぱり、オレじゃだめだったのかな。オレが強くて、あいつらの思い通りにさせないくらい力があったら、そんな悲しい顔、しなくてすんだのかな。

 ごめん。ごめんよ、遊星。オレが遊星を守るには、この選択しか、なかったんだ。

 こんな状況でも、オレを助けようとしてくれる遊星は、やっぱりやさしい。嬉しかったよ。嬉しかったけど、それだけはだめだ。遊星が消えるのはだめだ。
 だって遊星は、オレたちサテライトの希望だから。たとえオレが消えても、希望だけは、失いたくないんだ。


 遊星。オレさ、遊星のことが好きなんだ。大好きなんだ。強くてかっこいい遊星が。誰よりもやさしい遊星が。
 だいすきな、オレのだいすきな、遊星。




 ――だから。
 そんな、泣きそうな顔、しないで




























 ジャック。
 オレ、もしジャックが帰って来たらこう言うつもりだったんだ。ちゃんと謝らなきゃ許してやらない、って。オレにじゃないよ、遊星に。そりゃ、オレだってちょっと怒ってるけどさ。でも、ジャックが出て行って一番つらかったの、遊星なんだからな。わかってるのかよ、その辺。詳しい理由は知らないけどさ。喧嘩して出て行って、二年も遊星放ったらかしにして、どーなんだよ、ソレ。
 ……まあいいや。うん。もういいんだ。もう謝らなくてもいいから、今度はオレの頼み、聞いてくれよ。もう、ジャックにしか頼めないんだ。みんな、みんな……消えちゃった、から。


 おねがい。ジャック、お願いだ。
 ――遊星を、助けて。
























46話、誰よりも男前なのはラリーだと悟った