目の前を覆う絶望という名の闇を払うのは怒りだ。身も心も、喪失の痛みすら焼き焦がし抉るような、怒り。消す手立てなどある筈がない。復讐が無意味なことはよくわかっている。けれどもそうしなければ――たとえその行き着く先に残るものが絶望しかなかろうと――壊れるのはきっと、自分だ。
 許せない。自分から大切なものを奪った奴らが。命を賭して守ると誓ったものを守れなかった自分が、許せない。


 ――このまま絶望に沈むことなど許さない。ただ悲しみに暮れるだけなど、許さない。
 たとえ怒りの炎に焼き尽くされようとも――せめて一矢報いるまでは。


























51話