頑丈なセキュリティプログラムを解除した先にあったファイルの内容に目を奪われる。文字の羅列、表、グラフ、CG、実際の写真。今までにハッキングで手に入れてきた他のファイルよりも若干古い手法のそれに綴られた内容を、何かに取りつかれたかのように瞬きも忘れて読んでいく。
無公害にして究極のエネルギー発生システム、その提唱、開発。それに伴う不可思議な事象と危険性、そして訪れた暴走と崩壊――ネオ童実野シティを襲った未曾有の天変地異、ゼロ・リバース。
事細かく、記されていた。この荒廃したサテライトの最深部に存在する旧モーメントと、それが引き起こした大災害――否、大事故について。それも、一般に伝えられている内容とは異なる情報で、だ。――どう考えてもこれは、隠蔽された極秘情報だった。
しかし思考をもっていかれそうな程の衝撃を受けたのはその内容ではない。読み進めれば進める程に何度も何度も目にする、一人の研究者の名前。研究責任者という言葉と共に繰り返されるそれは、その人物がこの極秘ファイルに記されたプロジェクトにとって如何に重要な人物であるかを殊更に示していた。
そして彼が発見したと、この研究に不可欠なものだと記される、新粒子の名。――サテライトを崩壊させ、多くの人々の命を奪い絶望へ突き落とした、諸悪の根源。
そのふたつから導き出される名前に、頭が真っ白になる。
「……不…動、……遊星、」
――それは、辿り着いてしまった禁忌だった。
ふとした偶然から自力で辿り着いてしまいました妄想
不動博士と遊星粒子って聞いたら、否が応でも自分が出てくるよなあ遊星さん…と思った